白内障
白内障とは?
白内障は、目の水晶体という部分が白く濁ってくる病気です。 白内障の多くは加齢によるもので、老人性白内障(加齢白内障) といわれています。老人性白内障は白内障患者の7割以上を占めますが、 他にも先天性や外傷性、アトピー、糖尿病など代謝性の病気、 薬剤や放射線による白内障もあります。
症状は?
初期ではこれといった症状はみられません。 進行するにつれて、目がかすむ、ぼやけて見えにくい、 ものが二重三重にだぶって見える、光がまぶしく感じるなどの 症状が現れます。晴れた日の屋外がとてもまぶしく感じたり、 車の対向車のライトがまぶしく感じたりします。また、遠くが 見えにくく感じるために、近視が進んだように感じる場合もあるようです。 目の構造はよくカメラのしくみに例えられますが、 水晶体はカメラでいえばレンズの役割をしている部分です。 カメラもレンズにくもりや汚れがあると、光が反射してぼやけて見えますが、 目も同様に水晶体の濁りによって光が散乱して、ものがかすんで見えたり、 ぼやけたり、まぶしく感じてしまうのです。 また、進行すると瞳を覗くと中心の黒い部分が白っぽく見えます。
検査は?
診断には、自覚している目の異常が近視や乱視など屈折の異常 によるものかどうか、何か他の病気がないかなどを調べるために、 基本的な視力検査、屈折検査、眼圧検査、をおこないます。
眼底検査:網膜の状態を調べます。
細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ):白内障の進行を知るために 顕微鏡で眼球の中の水晶体を観察して濁りの状態を調べます。
角膜内皮細胞検査:角膜の内皮細胞が減少していないかを調べます。 このほか、必要に応じて散瞳検査、網膜電図検査などがおこなわれます。
眼内レンズを決める検査
眼軸長検査:手術が必要な場合は、前もって眼の中に挿入する眼内レンズを 選ぶ検査もおこないます。眼軸長検査は角膜の屈折力と眼の長さを超音波や 光干渉で計測する検査で、この検査で眼内レンズの度数を決めます。 眼内レンズには水晶体のように厚みを変えて、見るものにピントを合わせる 機能がありません。どの位の距離に焦点を合わせた眼内レンズを入れるかによって、 術後の見え方が変わります。手術前の視力や左右のバランス、仕事、 本人の希望などによってレンズの度を選びます。最近は老眼用に近くも遠くも 見える多焦点レンズや、乱視矯正ができるものなどがあります。術後のQOL (生活の質)やライフスタイルを考えて、医師と相談して自分にあったものを 選びます。眼内レンズは小さな切り口から挿入できるよう、 シリコンやアクリルなど柔らかい素材が使われています。 眼内レンズには無着色のレンズと、着色のレンズがあります。 無着色レンズは手術後に青みがかって見えると感じる場合があり、 これを補正したものが着色レンズです。
治療は?
薬剤による治療
白内障と分かったらすぐに手術をしなくてはいけないと思われがちですが、 普段の生活に支障がなければ、すぐに手術をする必要はありません。 ごく初期であれば点眼薬で進行を遅らせられる場合があります。ただし、 点眼薬で水晶体の濁りをなくすことはできません。白内障があることが分かったら、 定期的に受診して検査を受けましょう。
手術による治療
白内障の手術は、超音波水晶体乳化吸引術と眼内レンズ 挿入術をあわせておこなうのが一般的です。手術は局所麻酔で顕微鏡を 使っておこなわれます。水晶体は水晶体嚢(すいしょうたいのう) という外側の袋の中心にある水晶核と周囲を覆う皮質でできています。 超音波で白く濁った核や皮質部分を乳化させて吸引し、 その代わりに眼内レンズを水晶体嚢の中へ挿入します。手術にかかる時間が短く、 患者の負担が軽くすむのが特徴です。この他、症状が進行している場合には 嚢外摘出術手術法が選択される場合もあります。